九州DAN児

現役理学療法士が運営する ーがばいためになるブログー

マッスルメモリー ~DNAレベルで筋肉は裏切らない~

 

 

みなさん、こんにちは。

年を取るにつれて、身体が重くなっていると感じる今日この頃。

やっぱり若い時のようにはいきませんよね。

年齢を重ねるにつれて、足腰が痛くなったり、重いものが持ち上げられなかったり、子供に腕相撲で負けたりと『自分は弱ったなぁ』と感じることはありませんか?

本日はそのことについて少しお話いたします。

 「上腕二頭筋の力強さをアピールする筋肉質」の写真[モデル:パルンボ井若]

 

 

 

 

 

筋力低下

筋力は、使わないとどんどん落ちてきます。それはなぜか。人間の身体はよくできていて、普段の生活で必要のない筋肉をつけていると無駄なエネルギー消費になるため身体は筋肉を無くしていきます。筋肉に刺激が入らないことでだんだん弱っていくのが筋力低下です。人間は立っている姿勢、座っている姿勢、歩いている時など常に重力がかかり、身体が重力に抗して生活をしていますが、その重力をうけないとどうなるのでしょうか?

 

廃用症候群

廃用症候群とは「長期臥床(寝たきり)により、心身の活動性が低下してきたことにより引き起こされる病的状態」と定義されています。

長期間寝たきりを余儀なくされた場合、刺激や重力をうけず筋力は急激に低下していきます。

これは、入院や施設に入所している高齢者によく見られますが、当然若年者が寝たきりで生活していても同様の現象が起こります。

人間の筋力は、1週間の絶対安静で10~15%3~5週間で50%まで低下するといわれています。また筋肉の萎縮も同時に起こり、2か月以内に筋肉の量は半分になるといわれています。身体を動かさないため関節が硬くなり股関節や膝関節が伸びなくなったり曲がらなくなったりといった拘縮という症状を引き起こします。

 そのほかにも、循環器系に影響を及ぼし、血流量低下呼吸器機能低下など様々な症状を引き起こします。

寝たきりというのは極端な例ですが、このように筋肉を使わないと、どんどん落ちていくのです。

 

宇宙飛行士

余談ですが、宇宙飛行士も同様の筋力低下を引き起こします。

宇宙では、もちろんのこと重力はかかりません。そのため身体が筋力を必要としなくなり、どんどん筋力低下が進んでいきます。

宇宙飛行士は宇宙空間で筋トレを行っていますが、やはり維持するのも難しいようで、帰還後には、自力で立つことが困難で、車椅子で移動する姿を目にします。普段は意識していませんが、そのくらい重力というものは重要なのです。

 

 

筋力低下は防げるのか

「歯科医の虫歯ポーズ」の写真[モデル:パルンボ井若]

筋力低下を防ぐには、もちろん筋トレを行うしかありません。フィットネスジムに通えとまでは言いません、日々の生活の中で身体を動かし現在の筋力を維持していく必要があるのです。 

 仕事柄、中高年者や高齢者と話す機会が多いですが、「若い時は力があった」「昔のようには身体が動かない、足腰に力が入らない」などの言葉をよく耳にします。

ここで登場してくるのが、『マッスルメモリー』という単語です。

 

 

マッスルメモリーとは

 「40KgのPCを操るために、日頃からの鍛錬を欠かさない世界最高のWebマーケッター」の写真[モデル:カウアン]

 マッスルメモリーとは、簡単に説明すると、『一度身体についていた筋肉は、たとえ筋力低下を起こしても、また鍛えることで筋肉を取り戻せる』というものです。

 筋トレを行うと、私たちの身体ではなにが起こっているのか。もちろん、『筋肉が大きく』なります。それと同時に、『身体の細胞の中にある核が増えて』いきます。そうやって私たちの身体は筋肉を大きくしているのです。

では筋力低下が起きるとどうなるのでしょう。

レーニングをやめたり、日常生活や仕事で動く機会が減ったり、寝たきりになってしまった。すると、当然筋力は低下していきます。

 

DNAレベルで覚えている

 しかし、不思議なことに『身体の細胞の中にある核は減らない』のです。一度増えた筋肉細胞の核は身体の中にとどまり続け、また必要な時に備えているのです。

 

 

マッスルメモリーの有効期限

 一度ついた核は減らないとお話いたしましたが、マッスルメモリーに有効期限はあるのでしょうか?

はっきりとしたデータはないのですが、ある研究によると、『数十年~一生涯減らない』といわれています。

そのため、20代で鍛えてついていた筋肉は、40代50代になってもつきますし、極端に言えば90代になっても筋力を取り戻す可能性はあるということです。しかし、年齢を重ねるにつれて、筋肉がつくのには時間がかかります。そのため、いかに筋力を維持していくかが重要になってくるのです。

 

 

今時の若者の筋力は危険?

「化粧水を使用する女性(美容)」の写真[モデル:モデルファクトリー]

 最近の若い子を見ていると、「ダイエットしています」「足を細くしたい」などの言葉をよく耳にします。身体が細い・痩せている=美人と勘違いしている人が多い印象です。みなさんはどうでしょうか?

身体が細いにも、大きく分けて2パターンあります。

 

①筋肉質で脂肪がきれいに落ちていて細い身体

②筋肉も脂肪も少なくて細い身体

 

この2つの大きな違いは、『筋肉の有無』です。

みなさんがよく勘違いすることとして、『筋肉をつけると身体が大きくなる』という考えをお持ちですが、はっきり言って違います。筋肉をつけると無駄な脂肪が落ち痩せてみえるようになるのです。特に、女性が気にする二の腕や太ももなどが太い原因は、多くは脂肪であるため、筋肉をつけ脂肪を落とすと、痩せて綺麗な身体になります

 

芸能人を見ていると、細い人が多いですが、大半はしっかりと運動を行うことで筋肉をつけ、身体を細くし体型を維持しています。

  多くの女性は『楽に痩せる方法』を探します。最近では、食事制限を行う炭水化物制限ダイエットや脂質制限ダイエットなどを耳にします。中には、『痩せるサプリ』といういかにも怪しいものを信じて服用している人もいます。痩せるサプリなんて本当にお金の無駄です。

はっきり言います。たとえ食事制限やサプリで痩せたします。

それは脂肪は落ちていますが、同時に筋肉も落ちているので、身体にとって『悪い痩せ方』ということになってしまうのです。筋肉量は低下しているため、身体の代謝はどんどん低下していき、むしろ痩せにくい身体へと変化し、食事をダイエットする前の状態に戻すと、代謝が落ちているためすぐ太るという悪循環になってしまうのです。

 

そのため、言いたいことは、若いうちにしっかり運動して筋肉をつけておきましょう。

年を取ると、身体のあちこちが痛くなります。困らないように今のうち頑張りましょう。

また、痩せすぎた身体は、同性からの憧れはあるかもしれませんが、男性側からすると、魅力的だと感じる方はあまりいないようですので、ダイエットはほどほどに。。。