腰痛症 part1 定義 疫学 診断 種類 メカニズム
今日も楽しい1日でした。誰よりも笑いました。
さて、最近、腰痛に悩まされる人が周りに多くいます。そういった方に治療を行っているのですが、私が以前まとめた腰痛症について、本職が理学療法士であるため皆さんのお役に立てるよう、少しお話したいと思います。
腰痛症の定義
一般に腰痛の定義で確立したものはありません。そのため主に疼痛部位、発症からの有症期間、原因などにより定義されます。部位に関しては、さまざまな見解がありますが、文字通りでいくと「腰部に存在する疼痛」という定義になります。具体的には、触知可能な最下端の肋骨と殿溝の間の領域とするのが一般的です。
この赤線の間で起こる疼痛を指します。
腰痛の疫学
中等度以上(重度も含む)の腰痛を有する日本人の医療資源の利用及び年間経費は、
1人当たり169万円となっています(重度者は188万円)。
ちなみに腰痛を有さない人の年間経費は54万円となっており、いかに腰痛症が医療資源を圧迫しているかがこれを見てわかります。
また、腰痛により休職する方もおり、経済にも大きな影響を与えています。
これを見て分かる通り、腰痛の発症頻度は男性で第1位、女性で2位となっており、深刻な問題となっています。
腰痛症が多い職種としては、
事務職
看護職
介護職
運輸職
清掃職
などが特に多いようです。
やはり、座りっぱなしや腰を曲げた状態での肉体労働を要する業種に多い印象です。
人類の負の遺産
人類は四足歩行から二足歩行へと進化を遂げました。人類は上肢を使うようになり文明を発展させてきたといわれています。
その代償として、『負の遺産』というものが存在します。
二足歩行へと進化を遂げたことで、『腰痛』『肩こり』『心臓病』『血圧異常』『難産』『ヘルニア』などの様々なものが起こるリスクを代償としました。
腰痛は人生において8割以上は一度は経験するといわれています。
妊娠期の体調不良や出産の苦しみも直立姿勢と特異な骨盤の形状が大きな原因といわれています。
直立二足歩行を行っていくうえで、これらとうまく付き合っていかなければならないのです。
腰痛症の診断
腰痛症の診断には、主に、『問診』『画像検査』『神経検査』を行います。
その中で、『レッドフラッグス』という危険信号を見極めながら診断します。
痛みの場所や痛みの種類(ビリビリや重だるいなど)、どんな姿勢で痛いか、どんな
時間に痛いかなどを細かく聞きながら判断します。
その上で、その腰痛症が危険であると判断した場合は画像検査や神経検査を行い慎重にすすめていくのです。
red flags(危険信号)
・発症年齢が<20歳または>55歳
・胸部痛
・時間や活動性に関係のない腰痛
・栄養不良
・構築性脊柱変形
・広範囲に及ぶ神経症状
・体重減少
・発熱
これらが、先ほど説明した診察時に評価する危険信号です。
腰痛があり、これらの項目に当てはまると、重大な症状を引き起こす可能性があるため、それらを鑑別していきます。
当てはまる方は、一度受診してみてはいかがでしょうか。
腰痛症の原因別割合
次に原因別割合です。
これを見てわかるように、ほとんどの腰痛症は『原因不明』です。これは『非特異的腰痛症』と呼ばれています。
さきほどの問診・画像検査・神経検査で診断できるのは、全体の15%しか判断できません。しかしこの15%は危険な場合があるので注意が必要です。
非特異的腰痛症の85%は危険な腰痛でないことが多く、投薬または理学療法士を中心に評価・治療を行っていきます。
腰痛症の種類
次に腰痛症の種類です。
ここに挙げているのは全て腰が痛くなる病気やケガの一覧です。
赤字の部分は聞かれたことがあるかと思います。
ここに書いているのは腰痛のまだ一部ですが、この中でどれに当てはまるかを医師が判断します。
問診所見
各病態に多い問診所見です。
例》
椎間板ヘルニアの場合:
前かがみや骨盤後傾位(背中が曲がったおばあちゃん座り)になることで痛みが出ます。
脊柱管狭窄症の場合:
ヘルニアとは逆で、身体を反った時に痛みが出たり、間欠性跛行といって長く歩くと痛みが出る、休憩するとまた歩けるようになるといった特徴的な症状が出現します。
腰痛のメカニズム
結論を言います。腰痛症の多くが『原因不明』といわれています。
しかし、多くは
筋肉の問題
血流、神経の問題
肩や膝などの他関節、他部位の問題
椎間関節の問題
椎間板の問題
骨粗しょう症の問題 などが多いです。
非特異的腰痛症は原因不明の腰痛症といわれています。
非特異的腰痛症の80%以上は6週以内に自然治癒するといわれています。極端にいうと、放っておいても治るのです。
しかし、治ったところで根本の原因は改善されておらず、また再発し繰り返します。そのため、医師や理学療法士を中心にそれらの原因を特定して治療していくことが必要になります。
腰痛は、肩が原因の場合があります。膝が原因の場合もあります。
それらは今後説明できればと思います。
part1はこのへんで、また次回お会いしましょう。